はじめての手元供養で不安を感じる方へ~具体的な方法やメリット・デメリットを解説~

はじめての手元供養で不安を感じる方へ~具体的な方法やメリット・デメリットを解説~

手元供養イメージ

手元供養は都市部を中心に広がりをみせていますが、、供養方法として一般化したのは最近のため、これまで未経験という方がほとんどでしょう。

従来とは異なる供養方法となるため、実際に「手元供養」を始めるにあたって、不安を感じる方も多いようです。

そこで本記事では、多くの方が不安を感じるポイントや、「手元供養」の具体的な方法、メリット・デメリットについて解説します。

手元供養って大丈夫?

これまでの日本では、火葬後のご遺骨を適切なタイミングで各家のお墓に納骨するのが当然と考えられてきました。

そのため、自宅にご遺骨を安置しておこなう「手元供養」に対して、抵抗を感じる方も少なくないようです。

しかし実際のところ、自宅での「手元供養」は、法的にも供養の面でも何ら問題はありません。

その根拠について、以下に詳しく解説します。

法律からみた手元供養

法律

火葬後のご遺骨の取扱方法については「墓地、埋葬等に関する法律」で、以下のように規定されています。

『埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。』

そのため、自宅の庭などの私有地であっても、許可なくご遺骨を埋めることは法律で禁じられています。

しかし自宅の屋内にご遺骨を安置することについては、特に法律で規定されていないため、自宅にご遺骨を安置しての「手元供養」は問題ないということになります。

仏式供養の観点からも問題ない

僧侶

ご遺骨の納骨タイミングについては四十九日の法要後が一般的ですが、実のところ仏教では納骨時期を特に規定していません。

四十九日や一周忌などの法要のタイミングで納骨されるケースが多いだけで、実際には気持ちの整理がつくまでご遺骨を手元に置かれる方も少なくないようです。

従来の供養方法にこだわられる方の中には「家のお墓に納骨しないと成仏できない」と考える方もいらっしゃるようですが、仏教ではご遺骨の有無に関わらず成仏できるとされています。

また、ご遺骨の一部のみを「手元供養」する際に必要となる「分骨」についても、仏教において特に問題視されることはありません。

そもそも教義の中に「死者の復活」という考えがない仏教では、ご遺体やご遺骨を「魂の抜け殻」として捉えられているようで、ご遺骨がなくとも供養はできるとされています。

もちろん、ご遺骨の存在を軽視しているわけではなく、故人が現世に生きた証(あかし)として敬意をはらっていますが、少なくとも「分骨」を否定的には捉えてはいないようです。

火葬後に全てのご遺骨を骨壷に納める「全部収骨」が主流の東日本では、ご遺骨を分けることに抵抗を感じる方も多いといわれています。

しかし近畿地方を中心とした西日本では、ご遺骨の一部のみを収骨する「部分収骨」が主流で、収骨されなかった部分は火葬場に残して帰るのが一般的です。

また地域によっては、ご遺骨の一部を信仰する宗派の本山に納める「本山納骨」の習慣があり、寺院側でも受け入れていることから「分骨」を問題視していないことは明白でしょう。

手元供養の方法

「手元供養」は、ご遺骨の全てを自宅に安置しておこなう「全骨安置」と、一部のみを保管する「分骨安置」の2つに大きく分かれます。

現在では手元供養品も幅広い種類が市販されていますが、適する方法は「全骨安置」と「分骨安置」で異なります。

骨壷・ミニ骨壷

ミニ骨壷イメージ

「全骨安置」で「手元供養」を行う場合は、口径7寸(約21㎝)ほどの大きめの骨壷を利用するのが一般的です。

しかし粉骨加工を施せば、ご遺骨のボリュームを圧縮できるため、2~3寸(6~9cm)ほどの小さな骨壺に納められます。

また「分骨安置」では、保管するご遺骨も少量になるため、手元供養用のミニ骨壷を利用される方が多いようです。

手の平に納まるほど小さなサイズのミニ骨壷も市販されているので、置き場所に困ることはないでしょう。

仏壇・ミニ仏壇

ミニ仏壇イメージ

大きな骨壷をそのまま「手元供養」する場合は、見た目にも威圧感があるため、仏壇の近くに安置することが多いようです。

もし骨壷を外から見えないようにしたい場合は、内部に収骨スペースをもつ仏壇も市販されています。

また小型の骨壷やミニ骨壷を安置するのであれば、コンパクトな手元供養用のミニ仏壇がオススメです。

最近では仏壇に見えないようなデザインのミニ仏壇も市販されており、リビングなどの洋室に設置しても自然に溶け込みます。

人形・オブジェ

オブジェ

近年では、一般的な人形やオブジェにしか見えないような手元供養品も、数多く流通するようになりました。

一見しただけでは手元供養品とは判別できないため、人目に触れる場所に置いても問題ありません。

内部にご遺骨を納める形式が一般的ですが、粉骨加工したご遺骨そのものをプレート状にするタイプや、特殊な樹脂でご遺骨を封じ込めるタイプもあります。

アクセサリー

遺骨アクセサリー

ご遺骨を身に着けているだけでなんとなく安心感を得られるという方には、手元供養アクセサリーを利用されるとよいでしょう。

ネックレスや指輪・ブレスレットなど、最近ではさまざまなタイプの手元供養アクセサリーが流通しており、価格帯についても幅広く用意されています。

素材についても、一般的な金属だけでなく木製や陶磁器・ガラス製など、多種多様な中から選べますので、お好みの品を利用すれば問題ありません。

手元供養のメリット・デメリット

「手元供養」には数多くのメリットがありますが、やはりデメリットとなる要素も存在します。

メリット・デメリットの両方を知ったうえで、実際に「手元供養」を行うか決めることをおすすめします。

メリット

身近で供養

「手元供養」のメリットとして一番にあげられるのは、故人を身近に感じられる点でしょう。

ご遺骨になっていても、すぐに納骨してしまうのは寂しいと感じられる方も多いようですので、気持ちの整理がつくまで「手元供養」するのも選択肢の1つです。

また、従来の供養方法に比べ費用負担が少ないのも、メリットの1つといえるかもしれません。

「部分安置」であれば大きな仏壇を新調する必要はありませんし、安価な手元供養品も数多く販売されています。

さらにいえば、大きな仏壇を必要としないため、スペースの確保が容易なのも「手元供養」のメリットといえるでしょう。

デメリット

話し合い

「手元供養」の最も大きなデメリットは、家族や親族の理解を得にくい点かもしれません。

前述したように「手元供養」は法的にも仏教的にも問題ない供養方法ですが、比較的最近になって広まった方法のため、伝統を重んじる方から反対される可能性もあります。

本来ご遺骨の扱いについては、祭祀承継者であるご遺族に決定権があるので、周りからとやかく言われる筋合いのものではありません。

とはいえ、親族との関係がこじれるのは好ましいことではありませんので、事前の丁寧な説明が不可欠です。

また「手元供養」では、自宅でご遺骨を保管しますので、管理責任は供養される方がもたなければなりません。

ご遺骨の主成分であるカルシウムは、水分を吸収しやすい性質をもつため、まれにカビが発生することがあります。

さらに地震や台風・火事といった災害に遭遇した場合は、ご遺骨を紛失してしまう可能性もゼロではありません。

しかし、こういったデメリットを知っていれば、あらかじめ対策をとることも可能です。

カビの発生については「結露を防ぐため昼夜の温度差が大きい場所を避ける」「高温多湿を避け風通しの良い場所に安置する」などの方法が効果的です。

もう一方の災害の備えとしては「ご遺骨を何カ所かに分けて保管する」「ご遺骨の一部を手元供養アクセサリーに納めて、常に身に着けておく」といった方法をとれば、すべてのご遺骨を失う可能性は低くなります。

トラブルに対応する知識を持っていれば、デメリットのほとんどは解消可能ですので、必要以上に心配する必要はないでしょう。

おわりに

今回は「手元供養」をおこなうにあたって、多くの方が不安を感じる点や、メリット・デメリットについて解説しました。

自宅での「手元供養」は、ほとんどの方が未経験ですので、心配になるのも無理はありませんし、やはりデメリットもあります。

しかし「手元供養」には、多くのメリットがあり、デメリットの多くは工夫次第で解消可能な点もご理解いただけたかと存じます。

本記事が「手元供養」を検討されている方の、不安払しょくにつながれば幸いです。

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