手元供養には、亡くなった方の存在を身近に感じられるなどのメリットもある反面、気を付けるべき点がいくつか存在します。
対応を怠った場合、思わぬトラブルの原因となることもありますので注意が必要です。
そこで本記事では、手元供養で起きやすいトラブルや、その対策について詳しく紹介します。
適切な対応はトラブル回避にもつながりますので、ぜひ最後までご覧ください。
手元供養で発生しやすいトラブル
手元供養ではご遺骨を自宅に安置しますので、ご自身で適切な管理を行う必要があります。
しかし具体的な対応方法についてはご存じない方も多いため、トラブルにつながっているケースも散見されます。
ご遺骨にカビ
ご遺骨の主成分であるカルシウムは非常に水分を吸収しやすい性質をもつため、保管方法によってはカビが生えてしまう可能性があります。
カビが発生する条件は「カビ胞子(ほうし)の付着」「湿気」「養分の存在」となりますので、火葬直後のご遺骨は本来カビが生えにくい状態です。
しかしご遺骨の十分な管理がなされていない場合、時間経過とともにカビが発生してしまったケースも散見されます。
ご遺骨に発生してしまったカビを、一般の方が取り除くのは困難ですので、事前の対策が大切です。
親族の理解が得られない
これまでの日本では、忌日(きにち)法要や年忌(ねんき)法要などのタイミングで、ご遺骨をお墓に納骨するのが一般的でしたので、手元供養に難色(なんしょく)を示す方も少なくありません。
特に焼骨の全てを骨壺に納める「全部収骨(ぜんぶしゅうこつ)」が一般的な東日本では、「分骨」にすら抵抗を感じる方もいるようです。
ご遺骨の取り扱いについては祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)に決定権がありますので、基本的にご遺族の意向が優先されます。
とはいえ、親族からの理解を得ないまま手元供養を行った場合、あとになって苦言を呈(てい)されるケースもあるようです。
親族間のトラブルは解決までに時間がかかることもあるため、将来的に禍根(かこん)を残すことのないよう十分な配慮が求められます。
紛失の可能性
手元供養のために自宅でご遺骨を安置した場合、火災や地震・台風といった災害で被害をこうむった際に、紛失する可能性があります。
またミニ骨壷やアクセサリータイプの手元供養品を利用して、旅行などの際にご遺骨を持ち出す際に紛失するケースもあるようです。
一度失ってしまったご遺骨を取り戻すのは非常に困難ですので、紛失することのないよう細心の注意をはらう必要があります。
手元供養のトラブル対策
手元供養で生じやすいトラブルについて紹介してきましたが、適切な対応をとっていれば防止可能です。
ここからはトラブル回避に向けた対策について紹介します。
カビ防止に効果的な方法
前述したように、カビが発生する条件は「カビ胞子の付着」「湿気」「養分の存在」ですので、これらの要素を取り除くことでカビを防止できます。
それぞれの要素への対策について、具体例をあげながら解説します。
ご遺骨の適切な安置場所選び
適切な湿度管理を行ううえで、ご遺骨の安置場所選びは慎重に行う必要があります。
湿気が多い水回りの周辺はもちろんですが、昼夜の温度差が大きい場所は、結露(けつろ)が発生しやすいので避けたほうが無難です。
カビは高温多湿を好む性質があるため、直射日光が当たる窓辺などを避け、風通しの良い場所を選ぶとよいでしょう。
ご遺骨の加工
ご遺骨の全てを手元供養する場合は、火葬場で骨壺に収骨したまま保管する方も少なくないようです。
しかし、粉骨加工を施したうえで真空パックにしておけば、カビが発生する恐れはほとんどありません。
粉骨加工を施すことで、全骨を納めるために必要となる容積も圧縮されますので、手元供養品の選択肢が広がるというメリットもあります。
密閉性の高い手元供養品の利用
一般的な陶磁器の骨壺は、上から蓋(ふた)を被せてあるだけのケースがほとんどですので、カビ胞子の侵入を完全に防ぐのは困難です。
しかし現在では、シリコン製のパッキンなどを用いて気密性を高めた骨壺や、ねじ式の蓋を採用した密閉可能な骨壺も市販されています。
カビ胞子や湿気の侵入を防ぐことができれば、カビが発生する危険性は大幅に低下しますので、密閉性の高い骨壺の利用も効果的です。
カビが発生してしまった場合の対応
火葬後の遺骨には、発がん性物質である六価クロムが付着している可能性があるため、直接手で触れるのはおすすめできません。
手袋を着用したうえでご遺骨を取り出し、天日干しする方法もありますが、すでに発生したカビをすべて取り除くのは難しいでしょう。
万が一ご遺骨にカビが発生してしまった場合は、洗骨(せんこつ)サービスを提供している専門の業者に依頼したほうが安全です。
周囲の方との十分な話し合い
現在では、手元供養に対する一般認知度も高まっていますが、従来の納骨方法にこだわる方も少なくありません。
特に地方在住の方やご年配の方は、この傾向が顕著(けんちょ)なようですので、事前の丁寧(ていねい)な説明が不可欠でしょう.
「遺骨がすべてそろっていなければ成仏できない」という先入観から、分骨や粉骨加工についても難色を示す方がいらっしゃいます。
しかし実際のところ、仏教での供養において遺骨を重要視する考えはなく、お釈迦様の遺骨も各地の仏舎利塔(ぶっしゃりとう)に分散して納められました。
日本国内でも、遺骨の一部のみを骨壷に納める「部分収骨」が主流の関西地方では、残った遺骨を火葬場に置いて帰るのが一般的です。
こういった事情を説明したうえで、根気強く手元供養に対する理解を求めれば、深刻なトラブルを招く可能性は少なくなるでしょう。
ご遺骨の分散保管
前述したように、ご遺骨の全てを自宅に安置した場合、災害などで失われる可能性はゼロではありません。
しかし分骨したうえで何カ所かに分散して安置しておけば、ご遺骨の全てが失われる可能性は大幅に低下します。
手元供養を希望されるご遺族の中には、ご遺骨の大部分をお墓などに納骨したうえで、一部のみを自宅に安置される方も大勢いらっしゃいます。
こういった方法であれば、親族の理解も得やすくなると思われますので、ご遺骨の分散保管を検討してもよいでしょう。
ご遺骨の分骨自体は自分でもできますが、お墓に納骨する際には「分骨証明書(ぶんこつしょうめいしょ)」が必要となります。
事前に申し出ておけば、火葬当日に「分骨証明書」の発行を受けられますし、後日であっても火葬場や自治体窓口での申請が可能です。
将来についての準備
家のお墓は代々受け継いでいくものですので、お墓に納骨した場合は先々の心配をする必要はありません。
しかし手元供養をおこなう場合は、現在の祭祀承継者が亡くなった後のご遺骨の取り扱いについて、事前に考えておく必要があります。
「故人を身近に感じていたい」といった理由から手元供養をおこなうケースでは、将来的に家のお墓に納骨するよう、家族などに依頼しておけば問題はないでしょう。
もし自身の跡を継ぐ方がいない場合は、永代供養墓(えいだいくようぼ)や海洋散骨などを利用するといった選択肢もあります。
ご遺骨を納骨する際には、火葬の際に発行された「埋葬許可証(まいそうきょかしょう)」が必要となりますが、分骨したご遺骨を納骨する際にも「分骨証明書」が必要となります。
ご遺骨を引き継いだ方が困ることの無いよう、必要書類はしっかりと保管しておきましょう。
おわりに
今回は手元供養で発生しやすいトラブルや、その対策について解説しました。
自宅にご遺骨を安置しておこなう手元供養は、最近になって一般化した供養方法ですので、周囲の方に理解されにくい面があるのは否定できません。
また、ご遺骨の管理についても個人でおこなう必要があるため、適切な管理方法についての知識を得ておく必要もあります。
とはいえ、しっかりとした対策をおこなうことで、今回紹介したトラブルのほとんどは回避可能です。
万が一トラブルが発生した場合も、必要となる対応が分かっていれば、慌てることもありません。
手元供養を実践するにあたり、本記事の情報が参考になれば幸いです。
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