手元供養は生活スタイルや住環境に左右されない供養方法のため、都市部を中心に広がりをみせつつあります。
従来の供養方法に比べ費用負担が少ないといわれる「手元供養」ですが、費用相場が分からないという方も多いようです。
そこで本記事では、手元供養品の価格帯について、種類ごとに紹介します。
手元供養品以外に必要となる品や、手続きについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
手元供養品の価格
最適な手元供養の方法は各家庭の状況によって異なるため、必要となる費用も一概にはいえません。
また手元供養品についても、現在では多種多様な品が市販されており、種類ごとに価格相場に差があります。
ミニ骨壷
全骨を加工せずに「手元供養」する場合、骨壷は7寸(口径:約21㎝)ほどの大きなものとなりますので、ある程度広いスペースが必要となります。
しかし、ご遺骨の一部を分骨したうえで「手元供養」すれば、場所をとらないミニ骨壷でも十分に安置可能です。
また粉骨加工を施してボリュームを圧縮すれば、全骨をミニ骨壷に納めるのも不可能ではありません。
現在では凝ったデザインのミニ骨壷も多く、骨壷に見えないような品も少なくありません。
さらに素材についても一般的な陶磁器製だけでなく、真鍮製や木製・ガラス製など幅広く用意されています。
価格については、シンプルなデザインのものであれば5,000円ほどから購入可能ですが、蒔絵の装飾が施された漆塗りや、クリスタルガラス製では10万円近いものもあります。
価格に幅はあるものの、もっとも品ぞろえが豊富なボリュームゾーンは1~2万円の価格帯です。
ミニ仏壇
本格的な仏壇を安置するためには一定のスペースが必要となりますが、現在の住環境にフィットするよう考慮されたミニ仏壇であれば、スペース確保の心配はありません。
またデザインについても、カジュアルからモダンまで多彩に取り揃えられていますので、安置場所の雰囲気に合った品を選べます。
一般的な唐木仏壇や金仏壇は、上置き型の小ぶりなものでも10万円以上のものが多く、細緻な装飾が施された仏壇などでは100万円以上のものも少なくありません。
しかしミニ仏壇であれば、開放感のあるステージ型は2万円台から購入可能ですし、重厚な造りのものでも10~30万円ほどとなっています。
アクセサリー
ご遺骨を内部に納めて身に着けられる、アクセサリータイプの手元供養品も人気を集めています。
価格は素材やデザインによってさまざまですが、おおむね1~5万円ほどが相場といわれています。
金・銀などの貴金属
貴金属素材のアクセサリーは、素材自体が高価なため全般的に高額になる傾向があります。
銀製品は2~3万円ほどのものが多く、比較的リーズナブルですが、金やプラチナ製品はシンプルなものでも20~30万円台が相場で、宝石をあしらったものはさらに高額となります。
ステンレス・チタン
ステンレス製やチタン製の手元供養アクセサリーは、1~3万円が相場といわれています。
ステンレスやチタンは変質しにくく耐久性に優れる反面、非常に硬いため加工が難しい金属のため、デザイン的にはシンプルなものが多いようです。
とはいえ価格の面では手頃ですし、特殊な被膜加工を施されたサージカルステンレスやチタンは金属アレルギーを起こしにくいので、安心して身に着けられます。
木製品・陶磁器・ガラス
金属以外の素材を用いた手元供養品としては、木製品や陶磁器・ガラスがあげられます。
素材自体は安価ですが、デザインによって価格が左右されやすいため、数千円から10万円前後まで価格帯も幅広くなっています。
耐久性については金属に劣るため、破損しないように取扱には注意が必要です。
近年になって注目を集めているのは、特殊な樹脂の中にご遺骨を封じ込めるUVレジンの手元供養アクセサリーで、価格相場は5~10万円ほどです。
金属ほどではないものの、防水性や耐久性に優れた素材ですので、普段から気軽に利用できます。
遺骨ダイヤモンド
ご遺骨から抽出した炭素成分を、高温高圧で合成ダイヤモンドに加工する「遺骨ダイヤモンド」も、手元供養品の1つです。
耐久性については天然ダイヤモンドと同等ですので、通常使用で破損する可能性はほとんどありません。
ただし価格相場は最低でも30万円以上とされ、製作するダイヤモンドが大きくなればなるほど高額になります。
また製作期間も6~9カ月ほど必要となりますし、アクセサリーに加工する場合は、さらに時間と費用がかかります。
手元供養で必要となる手続きと費用
火葬後に収骨したままの状態で「手元供養」する場合、特に必要となる手続きはありません。
しかしミニ骨壺や遺骨アクセサリーを利用して「手元供養」する場合は、必要となる手続きや対応がいくつかあります。
粉骨加工
遺骨アクセサリーの多くは、小さな穴から内部の納骨スペースにご遺骨を入れる形式のため、ご遺骨を約2mm以下の粉状にする「粉骨加工」が必要となります。
また「粉骨加工」を施すことで、ご遺骨のボリュームが圧縮されるため、ミニ骨壺に全骨を納めることも可能となります。
「粉骨加工」を業者に依頼した場合の料金は、7,000円~40,000円ほどが相場といわれています。
費用相場に幅があるのは、ご遺骨の状態や量によって金額が増減するためです。
*火葬から一定期間経過後のご遺骨については、乾燥工程が必要となる場合があります。
分骨証明書
ご遺骨をお墓などに納骨する際には「埋葬許可証(まいそうきょかしょう)」が必要となりますが、分骨したご遺骨を納骨する際にも「分骨証明書(ぶんこつしょうめいしょ)」の提出が求められます。
そのため、ご遺骨の一部を分骨して「手元供養」する場合は、あらかじめ「分骨証明書」の発行を受けておいた方が無難です。
「分骨証明書」は自治体から発行されますが、火葬後の収骨時に分骨した場合は、そのまま火葬場で発行されるケースが多いようです。
「分骨証明書」の発行手数料は自治体によって異なりますが、おおむね1通あたり300~500円が相場です。
主な自治体の発行手数料は以下の通りです。
- 瑞枝葬儀所(東京都):1通400円
- 臨海斎場(大田区など):1通300円
- 横浜市:1通300円
- 名古屋市:1通300円
- 大阪市:1通250円
納骨
全骨を自宅に安置する場合は不要ですが、ご遺骨の一部を分骨して「手元供養」する場合は、何らかの方法で残りのご遺骨を納骨しなければなりません。
すでに家のお墓がある場合は問題ありませんが、納骨先が決まっていない場合は納骨方法の検討が必要です。
お墓以外の主な納骨方法と価格相場は、以下の通りです。
- 永代供養墓…合祀型3~30万円 個別安置型50~150万円
- 納骨堂…50~100万円
- 樹木葬…合祀型…5~80万円
- 海洋散骨…代行散骨…5~10万円 参加型散骨…20~30万円
手元供養で費用を抑える方法
「手元供養」は比較的費用負担が少ない供養方法ですが、さらに費用を抑える方法もあります。
メリット・デメリットを把握したうえで、自分に合った方法を利用するのも選択肢の1つです。
粉骨加工を自分で行う
火葬後のご遺骨を粉末状にするのは、法律的にも問題ありませんし、作業としても個人で対応できないほど難しくはありません。
自分で粉骨をおこなえば、数万円の節約が可能です。
とはいえ、ご遺族にとって大切な方のご遺骨を粉々に砕く作業は、肉体的にも精神的にも負担が大きいものとなります。
また火葬後のご遺骨には、発がん性物質の六価クロムが付着している可能性もありますので、専門の業者に依頼したほうが安心です。
粉骨+αのセットを利用する
地中にご遺骨を直接埋めるタイプの樹木葬や、海洋散骨をおこなう場合は粉骨加工が必須となりますので、粉骨サービスのセット料金が設定されているケースも少なくありません。
また最近では、粉骨サービスに対応している手元供養品の取扱業者も、徐々に増えつつあるようです。
粉骨加工サービスを単独で依頼するケースに比べ、セット料金では割安になっていることが多いため、うまく利用すれば費用負担の軽減につながります。
ご遺骨を本山納骨(ほんざんのうこつ)する
前述したように、ご遺骨の一部を分骨して「手元供養」する場合、残りのご遺骨については納骨が必要となります。
永代供養墓や樹木葬・海洋散骨などの方法がありますが、信仰している仏教宗派の本山にご遺骨を納める「本山納骨(ほんざんのうこつ)」も選択肢の一つです。
「本山納骨」は宗派のしきたりに従って供養されるので安心ですし、救済の面もある仕組みのため費用面でも負担が少ない方法となります。
ただし「本山納骨」では、ご遺骨は基本的に合祀されてしまうため、一度納骨してしまうと取り戻すことはできません。
・本山納骨を受け付けている代表的な寺院
おわりに
本記事では「手元供養」について、必要となる費用の面から解説しました。
従来の供養方法に比べ費用負担が少ないとされる「手元供養」ですが、ご遺骨の安置方法によっては一定の費用が必要となります。
とはいえ、現在ではリーズナブルな手元供養品も数多く流通していますし、工夫次第で費用負担の軽減も可能です。
選択肢が広がれば、最適な方法が見つかる可能性も高まりますので、より多くの「手元供養」関連情報の収集をおすすめします。
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