手元供養は、核家族化や少子高齢化が進行した影響で、これまで継承されてきた供養方法の維持が困難になりつつある都市部を中心に、最近になって一般化した供養方法です。
「祭祀承継者がいない」「お墓が遠方にあり、管理が困難」といった問題を解決する方法として、注目を集めています。
「手元供養」には多くのメリットがあるため、良い面だけに目が行きがちですが、当然ながらデメリットも存在します。
そこで本記事では「手元供養」を行ううえでのメリット・デメリットについて、分かりやすく解説します。
手元供養の継続が困難になった場合の対応方法についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
手元供養のメリット
多様性が重視される現代の日本では、従来とは異なる形式での供養も受け入れられつつありますが、ご遺骨を埋葬しない「手元供養」もその一つです。
ここでは「手元供養」のメリットについて、詳しく紹介します。
自宅でお参りできる
ご年配の方や足の悪い方など、お墓まで足を運ぶのが難しい場合でも「手元供養」であれば心配ありません。
お墓が遠方にあるなどの理由で、頻繁にお墓参りができないというケースでも、自宅で「手元供養」をしていれば毎日でも手を合わせられます。
故人の存在を身近に感じられる
「手元供養」の最も大きなメリットは、ご遺骨を自宅に残して供養できる点でしょう。
葬儀後のご遺骨については、四十九日の法要や1周忌などのタイミングで、家のお墓に納骨するのが一般的です。
とはいえ、大切な家族を亡くした遺族にとって、その喪失感を乗り越えるのは容易ではありませんので、ご遺骨の全てを納骨することに寂しさを感じる方もいらっしゃるようです。
しかし「手元供養」であれば、ご遺骨を手放す必要がないため、必要以上に寂しい思いをすることはありません。
ご遺骨が身近にあることで「故人に見守られている」と感じる方もいらっしゃるようですので、グリーフケアの一助となる可能性もあるでしょう。
宗教的な制約を受けない
「手元供養」は宗教儀式ではないため、教義などの制約を受けることはなく、自分らしいかたちでの供養が可能です。
正式な仏壇は寺院の本堂と同様の役割をもつため、お供え物にも一定の配慮が求められます。
しかし「手元供養」であれば、生前に故人が好きだったお酒や、肉・魚を使用した料理をお供えしても問題ありません。
また「手元供養」には決められた形式が存在しないため、手元供養品についても自由な選択が可能です。
シンプルで都会的なデザインのものから、可愛らしいイメージのものまで、現在では幅広い選択肢が用意されていますので、思い思いのかたちで故人を偲べます。
経済的な負担が軽減できる
新たにお墓を建立する場合、墓地の永代使用料や墓石費用などで数百万円以上の金銭的負担が発生するケースも少なくありません。
しかし全骨を「手元供養」すれば、急いでお墓を用意する必要はありませんので、経済的な負担は大幅に軽減されます。
また仏壇についても、本格的な仏壇は高価なものが多いですが、ミニ仏壇であれば幅広い価格帯が用意されていますので、予算に合った選択が可能です。
手元供養のデメリット
「手元供養」には数多くのメリットがありますが、事前に知っておくべきデメリットもいくつか存在します。
「手元供養」を始めるにあたって、注意すべき点について紹介します。
ご遺骨の管理について責任が生じる
「手元供養」は、ご遺骨を自宅に安置しておこなう供養形式ですので、ご遺骨の管理についても自分自身で責任をもつ必要があります。
必要な管理を怠った場合、ご遺骨にカビが生えるなどのトラブルが発生する可能性もありますので、適切な管理方法についての知識は不可欠です。
また地震や台風・火災といった災害被害を受けた場合、ご遺骨を失ってしまう可能性は否定できません。
こういったケースで、喪失したご遺骨を取り戻すのは非常に困難ですので、ご遺骨の一部をアクセサリーなどの手元供養品に納め、いつでも持ち出せるようにしておくなどの手配をしておくと安心です。
家族・親族の理解を得られないケースも
「手元供養」は最近になって一般化した供養方法ですので、周囲の方の理解を得られないことも考えられます。
特にご年配の方は、伝統的な供養方法にこだわる傾向が強いため、遺恨を残さないためにも丁寧な説明が必要です。
家族以外のお参りが難しい
お寺や霊園のお墓に納骨した場合は、家族以外の方でも自由にお参りできますが、「手元供養」では自宅を訪問してもらうほかありません。
ご遺族とも親しい方であれば問題ありませんが、故人の友人・知人や会社関係者の場合は、足が遠のいてしまう可能性もあります。
お付き合いを継続したい相手に対しては、挨拶状を送る際に「お気軽にお訪ねください」などの一文を添えておくとよいでしょう。
将来的な対応を考えておく必要がある
ご遺骨を「手元供養」するのは法律的に問題ありませんが、自宅での管理が困難になった場合の対応については、事前に検討しておく必要があります。
ご遺骨の取り扱いについては「墓地、埋葬等に関する法律」で規定されており、都道府県知事の許可を受けた墓地や納骨堂以外への埋葬は禁じられています。
そのため「手元供養」していたご遺骨についても、将来的に納骨する必要が生じた場合は、お墓や納骨堂など法的に認められた方法で納骨しなければなりません。
祭祀を受け継ぐ家族がいる場合は対応を一任しても良いですが、希望する埋葬方法がある場合はしっかりと伝えておきましょう。
ご遺骨を管理できなくなった際の対応
ご遺骨を「手元供養」されている方に万が一の事があった場合、ご遺骨の管理は家族や親族などに委ねられます。
祭祀継承者が引き続き「手元供養」するケースを除いて、基本的には何らかのかたちで納骨しなければなりません。
ここからは「手元供養」していたご遺骨の納骨方法について、いくつか紹介します。
家のお墓に納骨
すでに家のお墓がある場合は、代替わりのタイミングで納骨するよう依頼しておけば問題ありません。
もっともオーソドックスな対応ですので、特段の事情がなければ反対されることもないでしょう。
永代供養墓や樹木葬など
何らかの理由で家のお墓に入りたくない、あるいは祭祀承継者がいないというケースでは、管理の必要がない永代供養墓を利用するのも一つの方法です。
現在では、永代供養付きの樹木葬墓地や納骨堂もありますので、希望に合った方法を選ぶとよいでしょう。
本山納骨
在来仏教宗派の多くでは、信徒のご遺骨を受け入れる「本山納骨」という仕組みがあります。
亡くなった方が信仰していた宗派の本山に、ご遺骨の一部を分骨して納骨するのが本来の流れですが、全骨納骨を受け入れている寺院も多いようです。
「本山納骨」は救済制度としても面もあるため、費用も安価に設定されているケースが多いですが、納骨堂に合祀されてしまうため後日取り出すことはできません。
とはいえお寺が存続する限り半永久的に供養されるため、もっとも安心な納骨方法といえるかもしれません。
おわりに
今回は「手元供養」のメリット・デメリットを中心に、具体例をあげながら解説しました。
「手元供養」と聞くと、特別な供養方法という印象を受けるかもしれませんが、お墓を用意するまでの一定期間だけ、ご遺骨を自宅で保管するケースは少なくありません。
ご遺骨を納骨してしまうことに寂しさを感じるのであれば、気持ちが落ち着くまで納骨を先延ばししてもよいでしょう。
ある程度の期間、自宅での供養を続けたうえで「手元供養」の継続を決断しても、決して遅くはありません。
焦って決める必要はありませんので、自分の気持ちと相談しながら、ゆっくり考えてみることをおすすめします。
実際に「手元供養」をおこなうにあたっては、メリット・デメリットの両方を理解したうえで、実施の可否を判断する必要があります。
本記事が、手元供養を検討されている方の参考になれば幸いです。
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